飲み会で行われるゲームを数学的に分析してみた話

ふと、大学生についていろいろ考えてみた。

 

「大学生」

 

ある時は、図書館に通って自分の中のあらゆる疑問という疑問や知的好奇心と向き合い続けるような「学びの化身」のことを指し、

ある時は、授業も課題もほったらかしにして複数のバイトに明け暮れ、もはや会社員レベルの給与を受け取るも、それを秒単位で溶かすことに定評のある「社畜バイター」を指し、

そしてある時は、サークルなどという便利な共同体として集結し、強い酒をグラス➡︎口➡︎食道➡︎胃➡︎食道➡︎口➡︎トイレあるいは床  という順に延々と走らせる「ばか」を指す。

 

他にも、「大学生」の捉え方であったり実際に生息する「大学生」の種類はあまりに多様で、「大学生」が一般名詞の枠に収まることは少々無理があるように思われ、ひとつの概念として成り立っていると定義されてもおかしくない。

 

今回はその中の「ばか」がやることの話。

 

前提

まず言っておくと、僕はこの「ばか」も含め大学生の多様性に反対なわけではない。なんなら僕も「ばか」になる時はあるし、大学生と酒を合わせれば恐怖が生まれるという公式についてもなんとなくは理解している。もちろん、人に迷惑をかけないようにすることと、かけてしまった時にどうケアするかは大切だが。

 

さて前置きが長くなってしまったが、そんな「ばか」たちの遊びのひとつに「ゲーム飲み」がある。とっさの判断力や語彙力、戦略性などが試されるゲームを行い、負けた人が酒を飲む。これを有限に繰り返すというものだ。多くのゲームがあるが、頭を使うものが多いものの、運任せのしょうもないゲームもある 。

 

サザエさんゲーム

 

国民的アニメ「サザエさん」のOP曲に合わせて一斉にメンバーの一人を指さし、一人が自然数を宣言する。その人からその数字だけ指さした先の人に進み、その人が負けになる。例えば、下のように指さしがおこなわれ、起点となる上の少年が「5」を宣言した時、

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図1


 このように数字を進め、下の少年がアウトとなる。

 

こんなゲーム、完全に運じゃないか!!と思う人もいると思う。

しかし、そうとも限らない。

もしも全員(n人とする)が等しく負けるのだとすれば自分が負ける確率は1/nであるが、それよりも小さくなる手があるならそれを使わない手はない。

今回はこのゲームの宣言者側におけるより勝率の高いプレイングについて考察したい。

 

➀最強の手段

このゲームにおける必勝法、それは言うまでもなく「1」を宣言することである。

しかし、この手はあまり使うべきではない。なぜなら、飲み会における立ち回りの基本として、「飲みすぎず」かつ「攻撃されない立ち位置をキープする」ことが求められるからだ。もし誰かを指差して「1」を宣言したら、その相手からのカウンターがどこかで飛んでくることは間違いない。なので、「1」はあまり現実的ではない。

 

では、他の場合はどうだろう。例えば「2」の場合。

これは、単純に指した相手が自分を指していればアウト、そうでなければセーフなので、全員が自分自身以外の誰を指すかは同様に確からしという前提で考えれば、n人でやる場合は1/(n-1)で自分にあたってしまう。基準となる1/nよりも高い確率で負けてしまう。

ちなみにこの時、すなわち自分が指した相手が同じく自分を指していた時、自分は全ての偶数においてアウトとなる。よって、偶数を宣言するのは賢くはないとも言える。

 

では、1ではない奇数として「3」について考える。

n人が自分以外のn-1人のだれかを指さすので考えられる全ての指差しのパターンは(n-1)^n

そのうち、自分→誰か→自分以外の別の誰か→自分 のループができるとアウトなので、そのパターンは(n-1)×(n-2)×1

(自分の選択肢)×(自分が指した相手の選択肢)×(相手に指された3人目の選択肢、自分を指すしかないので1)

 

よって「3」で自分がアウトになる確率は

(n-1)(n-2)/(n-1)^n= (n-2)/(n-1)^(n-1)

 

 

「4」では、2人の輪を2周するパターンと、4人の輪を1周するパターンがある。前者は「2」でアウトになる確率と等しく、後者は

(n-1)(n-2)(n-3)/(n-1)^nとなる。二つの和が確率となるが、やはり偶数は確実に「2」よりも自分がアウトになる確率が高いことがわかる。

 

⑤ 

「5」も「3」と同様に、

(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)/(n-1)^nとなる。

と、ここまで書いて気づく。

(これ、4人以下だとどうなんの??)

そう、「5」で自分がアウトになるということは、自分含めて五人の輪ができなければならない。その途中で一度でも、すでに通ったルートを通ってしまうと、どうしても5人目が自分になることはない。

 

例として、3人の時の全パターンを考える。

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図2 3人の時の全パターン。「5」なら必ず自分はセーフ。

これだ。きた。

 

注意

 

では、人数以上の数字を宣言すれば絶対に大丈夫なのか。5人で「6」の場合を考えよう。

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図3 5人で「6」のとき



 

このように、人数より多くても、その人数より小さい数の倍数(今回の6は3の倍数)は、アウトになる可能性がある。

 

結論

 

これらを踏まえてまとめると、

宣言すべき数字は次のようになる。

 

  1. プレイする人数よりも大きい自然数
  2. 素数(その数と1以外で割り切れない数)
  3. 強いて言えば、大きすぎない数(「37!」とかいうと数えるのが面倒でヘイトを集める恐れがある〔ちなみにこの!は階乗を表すものではない〕。)

 

 

よって、ふさわしいのは「13」である。

サザエさんゲームの最適解であり必勝法は、「13」である。

ちなみに、負けてでも盛り上げたいときは「12」あたりがいいだろう。僕は絶対やらないが。

 

捕捉

ちなみに上で計算した「2」~「5」の時の関数を、横軸を人数、縦軸を自分がアウトになる確率としてグラフにしてみた。

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図4

計算した奇数が3と5で、どちらも素数だからということもあるが、やはり偶数よりも奇数を宣言したほうが安全だと分かる。

 

うむ、数学は使ってこそ意味があるんだな。

何か数学的に考えてほしい案件があればコメントお願いします。

 

 

 

参考

無料オンライン関数ツール GeoGebra

https://www.geogebra.org/graphing

 

かわいいフリー素材集  いらすとや

https://www.irasutoya.com/